行政書士法人
田村環境事務所
Tamura Environmental Office
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相続とは、亡くなった方(被相続人)が所有していた不動産や預貯金などを引き継ぐことをいいます。
現在の日本の法律では、配偶者や子供、兄弟姉妹、両親などが亡くなった方(被相続人)の財産(不動産や預貯金など)を引き継ぐことができますが、生前に『遺言書』を作成することにより、家族以外にも財産を引き継がせることも可能となっております。
亡くなった方(被相続人)が所有していた財産(不動産や預貯金)を「相続財産」や「遺産」と呼ばれています。
お亡くなりになった後、死亡届の提出から相続手続き完了までの流れを簡単にご説明いたします。
死亡の事実を知った日から、7日以内に死亡した方の死亡地・本籍地又は届出人の所在地の市役所、区役所又は町村役場に届け出ます。
葬儀会社が代わりに提出している場合もあります。
市区町村の役所や社会保険事務所などで、社会保険や年金関係の手続きをします。
保険金受取人に指定されている方から保険会社に請求します。
家系図やエンディングノートの作成を
おススメしております*・。
除籍謄本、改製原戸籍謄本などを調査の上、民法に基づき相続人を確定します。
同時に、借金(負債)がないか、どんな財産があるのかなどを整理したりします。
この段階で、行政書士や司法書士に相談や相続の依頼をされる方が多いです。
・・・戸籍を調べてみて、初めて知る事実があったり・・・
・・・実は再婚で、前妻との間に子供がいた・・
・・・事実婚の状態であって、籍は入れていなかった・・・など
トラブルになったり、スムーズに相続が行えなかったりする場合もありますので、
ご健在の間に、戸籍謄本を確認することや、きちんと話をしておくことが大切ですね。
亡くなった方(被相続人)に借金などの負債が多い場合などは、『相続放棄』や『限定認証』を行う必要があり、家庭裁判所に申立てを行わなければなりません。相続放棄・限定認証は3か月以内に手続きを進める必要があるため、以外と早めに動かなければなりません。
※ 相続放棄とは・・・相続人が亡くなった方(被相続人)の相続財産を放棄することです。
年金だけでなく、不動産所得税などの収入があった方などの場合は、死亡確認から4か月以内に税務署へ『準確定申告』と税の納付まで行う必要があります。4か月以内に進める必要があるため、これもあまりのんびりはしていられません。
※ 準確定申告とは・・・亡くなった方(被相続人)が亡くなった年の確定申告のことで、相続人が申告します。
協議をして、遺産分割協議書を作成します。
『遺産分割協議』(遺言が存在する場合は、遺言)、除籍謄本や印鑑証明書などを揃えて、各金融機関などで所定の手続きを行うことで、現金の払戻しや名義書換などの相続手続きを行います。不動産の名義変更には、相続登記の申請が必要となりますので、法務局にて行います。
※ 相続登記とは・・・不動産の所有者が亡くなった場合に、その不動産の登記上の所有者を相続人へ変更することををいいます。
『相続税の申告』の必要がある場合、税務署に相続税の申告をして相続税の納付をします。(納税が不要の場合もあります。)
※ 相続税の申告とは・・・相続税は相続が発生して(亡くなって)から10か月以内に相続人が自ら申告する必要があります。
以上の流れは、個別の事情により異なる流れとなる場合がございます。
亡くなった方(被相続人)が所有していたものはすべて相続の対象になるのでしょうか?・・・いいえ。財産によっては、相続の対象にならないものもあります。どんなものが相続の対象となって、どんなものが相続の対象にならないのか、以下にまとめてみました。
① 不動産・・・宅地、農地、建物(マンション・アパートなど)、店舗、居宅、賃貸、借地権、借家権 など
② 現金、預貯金、株券、貸付金、売掛金、小切手 など
③ 動産・・・自動車、家財、船舶、骨董品、宝石、貴金属、美術品 など
④ 電話等加入権、ゴルフ会員権、慰謝料請求権、損害賠償請求権 など
⑤ 負債・・・借金、買掛金、住宅ローン、小切手 など
⑥ 未払い分・・・所得税、住民税、その他税金などの公租公課、水道光熱費、固定・携帯電話代、家賃、地代(被相続人の使用期間分)、入院していた病院の医療費など
※ 相続の対象となる財産は、亡くなった時点で残っていたプラスの財産とマイナスの財産の両方が含まれます。
① 一身専属的な権利義務(生活保護受給・国家資格・親権・罰金など)・・・亡くなった方本人でなければ目的が達成されない権利
② 香典、弔慰金、葬儀費用・・・一般的に、喪主(相続人)に宛てられるもののため、相続対象にはなりません。
③ 生命保険・・・受取人指定方法によっては、相続の対象になる場合がありますので注意が必要です。
④ 死亡退職金(企業の規定による)、遺族年金など
⑤ 墓地、墓石、仏壇、祭具、系譜・・・祭祀主催者が継承するものなので、相続財産にはなりません。
相続財産について相続する場合の方法と相続しなくない場合の方法についてまとめてみました。
遺産分割協議 相続人全員で『誰が』『何を』相続するのか話し合いを行う方法です。
話し合いのうえ、相続人全員の合意のもと、その内容を『遺産分割協議書』として書類を作成し、相続人全員で署名捺印をします。
遺産分割協議での相続は、相続人同士が話し合い・署名捺印が可能な状況が必要となるため、何らかの理由により相続人の間で話し合いができない場合や、相続人同士で合意が得られない場合、署名捺印ができない場合などは、遺産分割協議で相続手続きを進めることはできません。
亡くなった方(被相続人)が作成した『遺言書』が存在する場合は、遺言書による相続手続きとなります。
『遺言書』は以下の2つが主ですが、いずれの遺言書であっても、相続の手続きを進めるためには、『遺言執行者』が必要となります。
*『自筆証書遺言』・・・亡くなった方が全文を手書きで作成した遺言書
*『公正証書遺言』・・・公証役場で作成したもの
*『遺言執行者』・・・遺言書に書かれた内容どおりに相続できるように代表して相続手続きを進めていく人のこと
遺言書の中で、遺言執行者の指定がある場合は、その方が手続きを進めることになります。遺言執行者は、親族等でなくても、司法書士や弁護士、などの専門家へ依頼することもできます。※ 遺言執行者に指定されている人以外が、執行者として相続手続きをすることは、原則できません。
遺言執行者を引き受けた後、何らかの理由により、辞退したい場合は、正当な理由がある場合に限り辞退は可能ですが、家庭裁判所による手続きが必要となりますので、簡単にとはいきません。
遺言書の中で、遺言執行者が指定されていない場合は、家庭裁判所にて遺言執行者の選任手続きが必要です。
相続人同士での話し合い(遺産分割協議)ではまとまらない場合、『調停』による手続きで相続を進めていくことが一般的な方法とされています。
『遺産分割調停』とは、家庭裁判所に申し立てをして、選任された調停委員を介して、相続人の間で話し合いを行います。
それでも話し合いがまとまらない場合は、『審判』という手続きへ移行していきます。
亡くなった方(被相続人)に負債(借金など)があり、相続人としてそれらを相続したくない場合、家庭裁判所で『相続放棄』の手続きをすることができます。※ 相続放棄には、原則亡くなった日から3か月以内に相続放棄の手続きをする必要がありますので、注意が必要です。(3か月以上経過していても放棄できる場合もあります。)
亡くなった方(被相続人)の負債の有無などがわからないなど、遺産の詳細を調べてから決めたいという場合には、亡くなった日から3か月以内であれば、家庭裁判所の手続きで期間を延長することができます。
例えば・・・3人家族(父・母・子1人)の場合で、お父さんが亡くなった場合、相続人は母と子の2名となります。
この時に、子供が『財産等はすべて母に譲って自分は何も相続しなくてよい(しなくない)』と考えた場合、『遺産分割協議』で子供の相続分を放棄することができます。『遺産分割協議書』に、『すべての相続財産は母が相続する。』と記載し、相続人全員(放棄する人も)が署名捺印することで、子供は何も相続しない。とゆうことが可能になります。
この場合注意したいのが、亡くなった方(被相続人:この場合は父)に借金などの負債があった場合、遺産分割協議により相続分の放棄をおこなったとしても、例外を除き、債権者に対しての負担が免除されるわけではありません。
* 家庭裁判所での相続放棄と遺産分割協議による相続分放棄は何が違うのか・・・??
ハッキリとした違いは、「相続人」としての立場が残るかどうか。という点です。
家庭裁判所による相続放棄をおこなうと、法律上『相続人』であったという事実がなくなりますので、相続人である立場ではなくなります。
一方で、遺産分割協議により相続分の放棄を行った場合は、法律上『相続人』という立場はかわらず、『今回は、相続人として遺産を受け取らないという選択をしました。』という扱いになり、『相続人』であることは変わっていません。
相続手続きを行うに当たり、知っておくとよい情報をまとめてみました。参考にしてみてください。